新・ドラマ囲炉裏の会

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ディア・ドクター


ディアドクター


監督 西川美和
出演 笑福亭鶴瓶、瑛太、
2009年 日本

★★★★★

いやぁ~面白かった、、、というか、すごい!!

この監督の作品「ゆれる」を見た時も思ったんだけど、
人間の中に混在する心理を描くのがとてもうまい。

ほんのちょっとのずるさ、ほんのちょっとの正義感、
ほとんど人間の誰もが持つ本能のような感情を、思わぬシチュエーションの中で、
とても温かい視線で描いた作品だと思う。

鶴瓶師匠、とてもハマり役だと思うな♪


最初はね、「本当の医療とは免許ではなく患者への真摯な愛」みたいなテーマの作品なのかと思った。
それだったら大いに吠えてやろうと思いながら見てたんだけど、
見ていくと、偽医者を迎えなければならないほど、その僻地医療の現実を深く描いてないし、
DRコトーのようなスーパーマン医師というほど、たった一人で立ち向かう医療の厳しさも描いてない。

ん?こりゃ何だか変だな、、、と思いながら、
主人公伊野が偽医者だったとわかる下りからの彼以外の人々の、
刑事への対応がすごく興味深くなった。

皆、何だかすごく違うんだよ。
伊野が医師であった時と、そうじゃない時と、、、

そしてそれは伊野自身にも言える。
彼が最後、患者の家族を診療所に残して逃げる姿、、、
オートバイで走り去るその姿、まさしくトンズラという言葉のように、実に滑稽なのだ。

この伊野も含めたすべての人々の中にちょっとした、そう、「ずるさ」があるんだよ。
ソフトに言えば「迷い」、とも言えるかもしれない、この感情の描き方が、
どの人のそれもすごく共感できるのだ。

★ まず偽医者、伊野の場合、、、

彼が医療メーカーの営業マンから、何かのきっかけで偽医者として生きてきたその理由、、、
もちろん冒頭で刑事が言うように2000万という報酬もあったと思うけど、
その一番の理由はダイレクトな患者からの感謝に、ある意味やみつきになったんだろう、ということ。
斉門(香川照之)が刑事に語った場面は、そういう意味でとても見応えがあった。
そんな一瞬の魔が彼をこの道に迷いこませてしまったのだろうが、
その結果、彼は自分が考える以上に村人にとって頼られる存在になってしまう。

ずるさが招いたやりがいという満足と、人をだましているという良心の呵責、、、
そのせめぎ合いの中で、ついに彼が自分の行動の限界を知るのが、
死期が迫った患者の家族との場面。。。
自分の嘘のために患者とその家族の人生が変わってしまうという恐怖感、、、
ここで彼は初めて、偽医者であることの罪を実感するんだと思う。

だから彼は取るものも取りあえず、バタバタと逃げ出してしまう。
これがうまいなぁ~と私は思ったんだけど、真正面から免許がないとダメと言っているのではなく、
医者が患者や患者の家族に対して、最終的に判断することの重さを、
こういう形で表現したことがとても意義深いと思った。
感動的なエピではなく、すたこらすたこら逃げていく偽医者の姿で表現したということが。。。

★ 研修医、相馬の場合、、、

研修が終わってから来年またここに来たい、というほど伊野に陶酔していた相馬。
その彼が刑事に伊野とのことを聞かれた時、伊野が偽医者だったことに、
少しだけ気づいていたと思わせる発言をする。
恐らく最後の最後まで彼は伊野が偽医者だとは気付いてなかったと私は思う。
しかし、それを刑事に認めることは『資格者』である彼のプライドが許さない。
なので、法に触れない程度にわずかだけれど気づいていたと言う彼のずるさ、が興味深い。
でも、あの伊野のペンライトを探していたのは、なぜなのかな?
彼が本物の医者である、と証明したかったのか?そのあたりは謎、、、(^_^;)

★ 看護師、大竹の場合、、、

彼女は、伊野が偽医者だったと気づいていたと思う。
あの気胸の場面での彼女の措置が、それを示していたと思うし…
しかし、喘息の息子を抱える彼女にとって、伊野という医師の存在は、
看護師という仕事を村で続ける上でも必要だったのだろう。
だから彼女は伊野を医師として受け入れていていた。
そして刑事に追及されても、そのことには触れなかった。
村にとっても彼女にとっても「医師」の存在が必要だったことを考えると、
彼女の「計算」も十分理解できる。

★ 患者、鳥飼科かづ子の場合、、、

末期の胃がん患者として登場するかづ子は、自分の病状を知りながら、
伊野にはそれを伏せてほしいと頼む。
かづ子の意に添うて治療をする伊野。
しかし、最終的に伊野が偽医者とわかった時、かづ子は伊野の処置を肯定も否定もしないという態度に出る。
最初、彼女の言動は分かりづらかった。
でも、彼女が伊野に自分の病気を娘たちに言わないでほしいと頼む場面で、
それが東京で医師をしている娘の生き方を否定することになる、と言った言葉を思い出した。
胃がんであることを知りながら、胃潰瘍の治療を受けたこと、
それを正直に告白することは、医師である娘を否定することになる、、、
だから彼女は伊野が間違った処方をした、とも取れる言動をする。
そこにずるさとはいえ、母親としての娘への思いがあるんだよね、、、

香川氏演じる斉門は、伊野の代弁者だと言えるので敢えて言及しないけれど、
すべての人のずるさが、理解できる描き方になっているのがすごい。

そして最後の場面がまたとてもいい。
あの人の微笑みが、医療とは、究極何であるかを物語っているよね。

決して人道主義や徹底的に犠牲を強いられる奉仕の精神を問うているわけではなく、
今、目の前で倒れかけている人にふと手を差し伸べること、、、
そのほんのわずかの正義感や人助け、その思いの行きつく先が、
救われる心に繋がるのではないか、、、
そんな風に思えるすばらしい映画でした
とても自然体の感動作です。

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*Comment

かよこさんへ 

> 淡々と話しが進んでいくのに、見入ってしまう。
> あっというまに見終わってしまった感覚は、
> キムギドクの「うつせみ」を思い出しました。

そうだね、そういえば、あの映画の感じにちょっと似ています♪

> 所詮、人は自分の体が一番、可愛いもんです。
> 村の人々も手のひらをかえしたような感じになるんだけど、露骨すぎない表現もよかったな~
> 「まぁ~しょうがねえな~~」的な・・・。

そうそう、まあそれくらいの「ずる」は許せるかなぁ~自分にもあるもんなぁ~っていう感覚が面白かったよね。

> 鶴瓶氏のバラエティはよくみるんだけど、役者としての彼もなかなかいいね~~。
> かづ子の娘と診療室での対話シーン、伊野がボールペンを手でクルクル回しながら会話するんだけど、
> アドリブだったんだって。後から監督と見て絶賛したそうな・・。  それを知って鑑賞したんだけど、伊野の心情がボールペンを通して表れてるようで、よかったよ。

へぇ~そういうエピソードがあったんだぁ~知らなかった。
確かにアイスクリームが台所のシンクで溶けて流れ出す映像などもそうだけど、
物で心情を表現している映像が多かったような気がします。
語り過ぎずいいですね。邦画ならではの傑作だと思うな♪
  • posted by ピック 
  • URL 
  • 2010.03/19 01:31分 
  • [編集]

.続きです、ミアネヨ~ 

淡々と話しが進んでいくのに、見入ってしまう。
あっというまに見終わってしまった感覚は、
キムギドクの「うつせみ」を思い出しました。
 
> 皆、何だかすごく違うんだよ。
伊野が医師であった時と、そうじゃない時と、、、

 ここ、本当におもしろかった。
所詮、人は自分の体が一番、可愛いもんです。
村の人々も手のひらをかえしたような感じになるんだけど、露骨すぎない表現もよかったな~
「まぁ~しょうがねえな~~」的な・・・。

鶴瓶氏のバラエティはよくみるんだけど、役者としての彼もなかなかいいね~~。
かづ子の娘と診療室での対話シーン、伊野がボールペンを手でクルクル回しながら会話するんだけど、
アドリブだったんだって。後から監督と見て絶賛したそうな・・。  それを知って鑑賞したんだけど、伊野の心情がボールペンを通して表れてるようで、よかったよ。
  • posted by かよこ 
  • URL 
  • 2010.03/18 09:00分 
  • [編集]

かめさんへ 

さっそくご覧になったんですね。

> いろんな面において引き際を心得ていた作品ですね。
> お涙をたっぷり頂戴するでもなく、とことん犯罪を追及するでもなく・・・

そうなんですよ。
いわゆる皆まで言わないそのさじ加減が絶妙な映画でした。
おっしゃるように一歩間違えると中途半端になりかねないんですが、
しっかりメッセージが伝わるところに、計算された脚本力と、
そのメッセージがしっかりわかって演じている役者の演技力が
あるからなんでしょうね。

> 容態が悪くなったかづ子に、伊野が「ごめんな」を言うシーンには目頭が熱くなりました。

鶴瓶のしゃわがれた声と小さい目がとても伊野の雰囲気をうまく出してましたよね。
  • posted by ピック 
  • URL 
  • 2010.03/15 18:14分 
  • [編集]

西川美和ってすごいですね! 

マイミクさんが「揺れる」を絶賛していてすごく気になっていた作品でして、実にいいタイミングでした(^^)

いろんな面において引き際を心得ていた作品ですね。
お涙をたっぷり頂戴するでもなく、とことん犯罪を追及するでもなく・・・

一見中途半端になりそうな感じなのに、意外と納得感を得られるから不思議です。

容態が悪くなったかづ子に、伊野が「ごめんな」を言うシーンには目頭が熱くなりました。
  • posted by かめ 
  • URL 
  • 2010.03/14 21:50分 
  • [編集]

ひまひまさんへ 

> ただ、ひまひま伊野が父のペンライトをずっと持っていたことから、きっと父の姿から伊野自身とても父を尊敬していて、父のようになりたいという気持ちがずっとあったのではないか・・・と思っています。(最後に父親に、電話までしてたし・・)

そうなんでしょうね。
あの認知症の父親に電話ボックスからペンライトの話をする伊野には泣けたよね。

> それにしても、この伊野というニセ医者に関わるそれぞれの人のピックさんがいう「ずるさ」は、見ている私たちに共感を持たせるよね~

人ってこういうちょっとしたずるさって誰でも持ってるよね。
それをシチュエーションが変わったことでちらっと見せるストーリーがとてもうまかったなと思います。

> 本来ならニセ医者だけれど、良い人だったという単純な描き方で終るのだろうけれど、そこがそう単純ではなく、上手く描かれていたものね!

そうなんだよね。
人間味とか誠実さだけで語られてないところがとても良かった。
現実感があったよね。
しかもその平凡じゃない描き方が技巧に走ってないところもとても良かった。
この監督さんはこれからも注目だな♪
  • posted by ピック 
  • URL 
  • 2010.03/06 01:44分 
  • [編集]

.面白かったね! 

色々な意味で、面白い映画だったよね~

ひまひまが一番興味を抱いたのが、どうして伊野がニセ医者になったのか?という事だったのだけれど、それを香川照之の言葉で、ほぉ~と妙に納得したわ
あの説明は、本当によく理解できたものね!

ただ、ひまひま伊野が父のペンライトをずっと持っていたことから、きっと父の姿から伊野自身とても父を尊敬していて、父のようになりたいという気持ちがずっとあったのではないか・・・と思っています。(最後に父親に、電話までしてたし・・)

このふたつの理由があって、伊野はニセ医者になったんだろうな~なんて勝手に思っとります。

それにしても、この伊野というニセ医者に関わるそれぞれの人のピックさんがいう「ずるさ」は、見ている私たちに共感を持たせるよね~

本来ならニセ医者だけれど、良い人だったという単純な描き方で終るのだろうけれど、そこがそう単純ではなく、上手く描かれていたものね!

いや、ホントに楽しめました。
  • posted by ひまひま 
  • URL 
  • 2010.03/04 22:12分 
  • [編集]

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